FVR-E11Sシリーズの動作確認方法の紹介
1. 概要

FVR-E11Sシリーズは、メーカーでの生産が終了している機種です。私たち「保守部品.com」は、生産終了したFA部品の取り扱いに特化していますので、あえてこの機種を選んで動作確認の内容をご紹介しています。
2. パラメータの読み書きの確認

パラメータの読み書きが正常に行えるかの確認には、インバータ前面に取り付けられているタッチパネルを使用します。実際にパラメータの初期化(H03)や運転方法(F02)の切り替えを行い、パラメータが正常に書き込めることを確認します。また、操作中に操作パネルの表示部や各操作キーが正常に機能していることも確認しています。FVR-E11Sシリーズは、テンキーを備えたパラメータユニットの用意はありませんが、キーを同時押しすることでパラメータの早送りやジャンプができるため、タッチパネルの限られたキーでもパラメータの変更はスムーズに行うことができます。
3. タッチパネル運転の確認

タッチパネルのキー操作によりモータを運転します。周波数の指定は、アップキーダウンキーで行い、タッチパネルからモータを正常に制御できるか確認しています。
4. 外部信号端子による運転の確認

FVR-E11Sシリーズは、外部信号による運転にも対応しています。当社では、インバータにモータを接続し、回転速度の変更ができることを確認するだけではなく、インバータを制御する上で必要な入出力信号を、当社で製作したツールを用いて検査しています。
正転運転 | :(FWD) |
逆転運転 | :(REV) |
デジタル入力1 | :(X1) |
デジタル入力2 | :(X2) |
デジタル入力3 | :(X3) |
デジタル入力4 | :(X4) |
デジタル入力5 | :(X5) |
周波数設定(電圧) | :(12) |
トランジスタ出力1 | :(Y1) |
トランジスタ出力2 | :(Y2) |
一括アラーム出力 | :(30A) |
一括アラーム出力 | :(30B) |
一括アラーム出力 | :(30C) |
一括アラーム出力(30A,30B,30C)は、インバータ内部のリレーによる接点の切り替えのため、故障するようなことは少ないと思いますが、外部信号運転時の異常検知に利用されるケースが多いため、当社では確認を行っています。デジタル入力(X4)に外部アラーム(THR)を割り付け、スイッチ操作によりアラームを発生させた後、異常リセットが割り付けられているデジタル入力(X5)でアラームを解除することで、一括アラーム出力(30A,30B,30C)とデジタル入力(X4,X5)が正常に機能していることを確認しています。

動作周波数の設定は、デジタル入力の他にアナログ入力にも対応しています。アナログ入力の確認では、当社で独自開発した動作確認ソフトウェアの「A1S62DAアナログ電圧出力機能」という機能を使って行います。アナログ入力端子に与える電圧を変化させ、+10Vで最大出力周波数となるか確認しています。
5. 主回路コンデンサの容量、運転時間の確認

FVR-E11Sシリーズは、機能コード「H42」で主回路コンデンサの容量を%で確認することができます。85%以下が寿命判定の目安となります。

また、機能コード「H01」で運転時間を確認することができます。10h単位で65000時間まで積算されます。当社では製造年に加え、運転時間及び、コンデンサ容量を調査し、商品ページにそれらを記載しています。
6. 冷却ファンの確認

FVR-E11Sシリーズは、1.5kW以上の機種に冷却用のファンモータが搭載されています。 ファンモータの運転時間は、機能コード「H43」で確認できます。 ただし、ファンモータが交換されている場合は、冷却ファンの運転時間を参考にすることができないため、ファンモータとインバータ本体それぞれの製造番号を照合し、交換時期と推定運転時間を割り出します。

異音や芯振れが発生しているファンモータについては、当社で交換を行っています。 冷却能力に影響が及ばないよう、同サイズ、同電圧の中から風量がほぼ同等のファンモータを選定し、FVR-E11Sシリーズに適合したコネクタを圧着しています。 FVR-E11Sシリーズ以外のインバータについても、コネクタと圧着工具をあらかじめ用意しており、異常が確認されたファンモータについては同様に交換対応が可能です。
7. 動作確認ツールの紹介

当社では、製品ごとに最適化された動作確認ツールを開発し、迅速かつ正確な動作確認を行っています。
こちらはツールを製作しているときの様子です。

こちらは動作確認ツールの基板のパターン図です。

こちらは配線図です。
8. 当社で動作確認可能なFVR-E11Sシリーズの一覧表
電圧クラス | 型番 |
---|---|
3相200V | FVR0.1E11S-2 FVR0.2E11S-2 FVR0.4E11S-2 FVR0.75E11S-2 FVR1.5E11S-2 FVR2.2E11S-2 FVR3.7E11S-2 FVR5.5E11S-2 FVR7.5E11S-2 |
単相200V | FVR0.1E11S-7 FVR0.2E11S-7 FVR0.4E11S-7 FVR0.75E11S-7 FVR1.5E11S-7 FVR2.2E11S-7 |
3相200V | FVR0.1E11S-2 FVR0.2E11S-2 FVR0.4E11S-2 FVR0.75E11S-2 FVR1.5E11S-2 FVR2.2E11S-2 FVR3.7E11S-2 FVR5.5E11S-2 FVR7.5E11S-2 |
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単相200V | FVR0.1E11S-7 FVR0.2E11S-7 FVR0.4E11S-7 FVR0.75E11S-7 FVR1.5E11S-7 FVR2.2E11S-7 |
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私たち保守部品.comの使命は、確実に動作するFA部品をお届けすることで皆様の生産設備を守ることです。今後も動作確認に力を入れ、お客様が安心してご利用いただけるよう最大限の努力をしてまいります。