MR-J3-□Bシリーズの動作確認方法の紹介
1. 概要
このページでは、三菱のサーボアンプ、MR-J3-□Bの当社における動作確認方法をご紹介します。当社が具体的にどのように動作確認を行っているのかを知っていただき、少しでも安心してご購入いただけるよう作成しています。
MR-J3シリーズは既にメーカーが生産を終了している機種です。しかし私たち保守部品.comは、生産終了した製品を主に取り扱うサイトです。あえてこの機種を選び記事を作成しました。
2. 位置決め動作の確認
位置決め動作の確認には、セットアップソフトウェアMR Configtator2の「位置決め運転」機能を利用しています。上記の図の通り、移動量の設定をサーボモータのエンコーダーの1回転あたりの分解能と同じ数値(262,144pulse/rev)に設定し、正転及び逆転方向に何度も繰り返し運転を行うことで正確な位置決め動作ができることを確認しています。
さらに回転数計を使用し、設定したモータ回転速度と実際の回転速度が一致するかの確認も行っています。
なお、当社ではサーボアンプの動作確認をする際は、正しい組み合わせとなるモータを接続した上で動作確認をしています。当社には動作確認用のサーボモータが容量別にストックされており、どんな容量のアンプであっても確実な動作確認ができる環境が整っています。
3. SSCNETⅢによる位置決め動作の確認
MR-J3-□Bは、光通信方式の高速同期ネットワーク(SSCNETⅢ)を搭載したサーボアンプです。位置決めユニットやモーションコントローラーから位置データを直接サーボアンプが読み取って運転するタイプになります。
このMR-J3-□Bの位置決め動作を確認する際、当社では、セットアップソフトウェアを用いた確認だけではなく、SSCNETⅢによる位置決め動作の確認もしています。上の図の通り、上位に三菱電機のモーションコントローラー(Q172HCPU)を接続し、そのコントローラーからモーターの制御を行うことで、SSCNETⅢによる位置決め動作が正常に行えることを確認しています。Q172HCPUのOSはSV22QL、バージョンは300Dを利用しています。
SSCNETⅢによる位置決め運転の様子です。アンプのCN1Aと、Q172HCPUのCN1をSSCNETⅢ光ケーブル(MR-J3BUS05M)で接続しています。SSCNETⅢは光通信方式であるため、突入電流や過電流が流れることはありませんから故障していることはまずありません。
4. 入出力信号の確認
当社では、正確な位置決め動作ができることを確認するだけではなく、CN3のEM1(強制停止)、DI1(上限ストロークリミット・FLS)、DI2(下限ストロークリミット・RLS)の各入力が正常に働くかの検査も行っております。これらの入力は、作業者の安全確保や機器の破損防止をするために使われることが多い入力です。このため当社では、この検査は非常に重要という認識を持って確認作業を行っております。
実際の検査においては、前述の回路図のようにアンプのEM1(強制停止)、DI1(上限ストロークリミット・FLS)、DI2(下限ストロークリミット・RLS)の3つの入力を全て0Vに接続しています。この状態で24Vの電源を切ると、上の図の2、12、20がOFFし白色に変わります。次に、24Vの電源を入れると、2、12、20がON(黄色に変わる)します。こうすることで、それら3つの入力が全て正常であることを確認することができます。
5. パラメータの読み書きの確認
パラメータの読み書きが正常に行えるかの確認には、セットアップソフトウェアMR Configtator2を使用しています。具体的には、サーボアンプのパラメータを初期設定に戻したり、前述の位置決め運転機能を利用することで確認しています。以前はMR Configtator(MRZJW3-SETUP221)を使用していましたが、これはWindows XP以前のOSで動くものであり、Windows10以降には対応していないため使用を中止しました。
当社ではパラメータを初期設定に戻したあと、「絶対位置検出システムの選択」を「インクリメンタルシステムで使用する」に設定し出荷しています。これはCN4にバッテリが接続されていない状態で、上記を設定しなかった場合「AL.25:絶対位置消失」というアラームが発生してしまうためです。
6. S/W番号、及び、電源ON累積時間の確認
当社では必ずS/W番号、及び、電源ON累積時間を調査しています。その理由は二つあります。
ひとつは、商品ページにそれらを記載し、いつ頃製造され、どのぐらい使用されたものかをお客様にお伝えするためです。
もう一つは、偽物の流出を防ぐためです。三菱電機の「中国FA製品に関する商標権侵害訴訟における当社勝訴について」というページを見ていただければわかるのですが、オークションサイトなどにおいて三菱製品を模した偽物が多数出回っております。当社ではS/W番号や電源ON累積時間をチェックをすることで偽物の流出を防いでいます。偽物のアンプは、たとえば外観のチェックにおいて明らかに使用した形跡が認められるのに、「電源ON累積時間」が0Hであったり、あるいは、製造年が新しいのにS/W番号は古いバージョンというように、不自然な点が見られることがあります。(偽物かどうかの判断は上記の方法だけではなく、基板をチェックするなど他にも方法がありますが、ここでは説明を省略します。)
7. 備考
型番の末尾に何らかの記号が付くアンプは特殊仕様のアンプになります。当社では、特殊仕様であっても、下記の記号のものであれば買い取ることがあります。しかし下記に載っていない特殊仕様のアンプは、三菱がユーザーの要求仕様に合わせて特別に製造したものである可能性があります。その場合、パラメータの変更が自由にできないことがあります。
- U004
- RJ040
- RJ006
- RU006
- RJ004
- RJ080W
- KE
- ED
- PX
- LR
- LW
特殊仕様のアンプはオークションサイトでよく見かけます。もし、そのようなアンプをご購入なさった場合は、自由にパラメータの変更ができない場合がありますので注意が必要です。
8. 当社で動作確認可能なMR-J3シリーズの一覧表
汎用インタフェース | SSCNETⅢ対応 | CC-Link対応 位置決め機能内蔵 |
|
---|---|---|---|
200V | MR-J3-10A MR-J3-20A MR-J3-40A MR-J3-60A MR-J3-70A MR-J3-100A MR-J3-200AN MR-J3-350A MR-J3-500A |
MR-J3-10B MR-J3-20B MR-J3-40B MR-J3-60B MR-J3-70B MR-J3-100B MR-J3-200B MR-J3-350B MR-J3-500B |
MR-J3-10T MR-J3-20T MR-J3-40T MR-J3-60T MR-J3-70T MR-J3-100T MR-J3-200T MR-J3-350T MR-J3-500T |
100V | MR-J3-10A1 MR-J3-20A1 MR-J3-40A1 |
MR-J3-10B1 MR-J3-20B1 MR-J3-40B1 |
MR-J3-10T1 MR-J3-20T1 MR-J3-40T1 |
200V
汎用インタフェース | MR-J3-10A MR-J3-20A MR-J3-40A MR-J3-60A MR-J3-70A MR-J3-100A MR-J3-200AN MR-J3-350A MR-J3-500A |
---|---|
SSCNETⅢ対応 | MR-J3-10B MR-J3-20B MR-J3-40B MR-J3-60B MR-J3-70B MR-J3-100B MR-J3-200B MR-J3-350B MR-J3-500B |
SSCNETⅢ対応 | MR-J3-10T MR-J3-20T MR-J3-40T MR-J3-60T MR-J3-70T MR-J3-100T MR-J3-200T MR-J3-350T MR-J3-500T |
100V
汎用インタフェース | MR-J3-10A1 MR-J3-20A1 MR-J3-40A1 |
---|---|
SSCNETⅢ対応 | MR-J3-10B1 MR-J3-20B1 MR-J3-40B1 |
SSCNETⅢ対応 | MR-J3-10T1 MR-J3-20T1 MR-J3-40T1 |
私たち保守部品.comの使命は、確実に動作するFA部品をお届けすることで皆様の生産設備を守ることです。今後も動作確認に力を入れ、お客様が安心してご利用いただけるよう最大限の努力をしてまいります。